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子犬育て記(3日目)2016.08.05 Friday
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産まれた〜〜!!と喜んでいたのも束の間、さっそく忙しい育児タイムがやってきました。
オーストラリアでは飼い主さんに引き渡すのは生後8週間以降と決まっているので、これから約2ヶ月、この子たちをウチで育てていくことになります。
とはいえ、育児するのはシャンティかあさん。私たちはシャンティかあさんのお手伝い役です。
産まれたばかりの子犬の世話といえば、授乳。そして下の世話です。
まだ自分で排泄できないので、母犬がお尻を舐めてあげます。
そして、出てきたおしっこ&うんちは、母犬の栄養としてリサイクルされます。
野生では、子犬の痕跡をなくすことで捕食動物に見つからないように、母犬が糞尿を処理する、とも言われます。
私たちは、シャンティかあさんの健康状態をモニターしながら、
それぞれの子犬の成長を確認するのがお仕事です。
いやあ、これが思っていた以上に忙しいです。
お掃除に、お食事に、授乳サポート、室温調整、体重チェック、体温チェック、お散歩等々。
一番の大役は、授乳サポート。この仕事を乳婆(ちちばあ)と名づけました(^^;)。
★乳婆(ちちばあ)の仕事とは・・・?
犬には10個の乳首がありますが、お乳の出には差があります。
よく出るおっぱいは子犬たちに人気なので、争奪合戦があり、強い子がその座をゲットします。
出のよくないおっぱいは、誰も吸ってくれないので、ますます出が悪くなり、下手すると乳腺炎につながってしまいます。
サポート役の乳婆(私のこと)は、人気のないおっぱいに、強くて吸引力のある子をあえて連れていきます。
こうすると、おっぱいの出もよくなるし、乳腺炎予防になります。
また、小さく産まれた子や、やさしすぎて?争奪合戦に負けちゃう子は、人気おっぱいへと誘導してあげます。
まだ目は開いていないから見えていないのですが、上手にいいおっぱいを探してチューチュー吸い付ける子と、連れていってあげてもうまく吸い付けない子と、かなり差があるんです。
放っておくと、おっぱい吸うのが上手な子ばかりがどんどん肥えていき、下手な子は栄養が十分とれず、衰弱していっちゃいます。
それが自然淘汰というものなのでしょうけど、せっかく産まれてきてくれた命ですから、なんとか全員が成長してくれることを祈る乳婆なのでした。
ちょうど16年前、双子が産まれたときのことを思い出します。やっぱり真冬のお産でした。
人間には2つの乳首があるので、ダブル・フィーディングしていたわけですが、左のおっぱいのほうが出がよいので、吸い付き時間を記録して、二人が平等に左右のおっぱいから吸えるようにと調整していたものです。
昨日は産後の検診で、シャンティ母さんと子どもたちを全員、VET(動物のお医者さん)のところに連れていったのですが、初めて双子を連れて病院に検診にいったときのことを思い出してました。
★おっぱい吸えない子、ホワイティちゃん
ところで、授乳サポート中に乳婆は、一匹だけダントツにおっぱい吸うのが下手クソな子がいることに気づきました。
どんなに乳婆がサポートしようとも、おっぱいをくわえるのも一苦労だし、ようやくくわえられてもすぐに口を離しちゃう。
他の兄弟姉妹にまみれて「乳飲み隊」に参加しているように見えても、実は吸ってない。
そこらへんで寝っころがっていることが多く、おなかはすいているので、ピーピー文句ばっかり言うのです。
その子の文句がうるさいもんだから、シャンティ母さんも気になって、その子を舐めにいったりするので、
せっかくの乳飲み隊のアクティビティが中断されてしまうのです。
ごちゃごちゃ、ばらばらの乳飲み隊↓
右下のほうに、白い首輪をした小さい子が寝転んでいるの、わかりますか?
この子です、問題のホワイティちゃん。
よくよく見ると、この子の唇は裂けていました。口に穴が開いている状態なので、空気が漏れてお乳を吸えないのですね。
よく見られる奇形だそうで、何もしなかったら、ふつう1週間ほどで死んでしまうそう。
そこで、動物用粉ミルクを買ってきて、FeelFreeフラワーエッセンスのスポイトで、人工授乳しはじめました。
おなかはすいているようなのですが、1滴ずつ舐めるのが精一杯。どうしてもうまく摂取できません。
生まれたときから小さめなほうでしたが、その体重がどんどん減っていき、2日目にして生まれたときの3割減ほどになってしまいました。
VET(動物のお医者さん)に相談したところ、この口唇裂は手術もできないことはないが、生後4週間まで待たないといけないそう。
それも、難しい手術になるそうです。
そもそも、このペースではヒトがどんだけがんばって2時間おきに人工授乳したところで、4週間はもたないでしょう。
人工授乳を試して、その結果も見てきただけに、それは明らかでした。
それに、この子がピーピー鳴くことで兄弟姉妹の授乳も邪魔されてしまうし、シャンティにとってもストレスになっています。
母犬にとってストレスになると、お乳の量も減ってしまうので、小さめの子たちがサバイブできないかもしれない。
下手したら、ひとはら全員餓死というリスクもないことはない。
いろんなことが一瞬のうちに頭のなかを駆け巡りましたが、ラースも私も結論は同じでした。
VETに安楽死をお願いしました。
私、自分が動物を殺す選択をするなんて、絶対ありえないと思っていました。
それなのに、なぜか、「これがベストな選択だ」と自然に思ったんですよね。。。
もうダメか?と思ったブルータスが生き返った「命の魔法」を目の当たりにしましたが、これが陰陽の「陽」だとしたら、
もうひとつの自然の摂理、「陰」のほうを体験している感覚。
7匹の兄弟姉妹が元気に育つために、ひとはらの命がひとつの魂となって、こんな選択をしているように感じられました。
そういえば、、、
動物のことに限りませんが、よく「こんなのって、ひどい」とか「○○がかわいそう」みたいな情に訴えるような記事とか目にします。
たしかにひどいケースもありますが、そのとき、その人の立場に立ってみたら、私も同じことをしている可能性もあるんですよね。
昔、弁護士さんから聞いた話を思い出しました。
「殺人犯からの供述をじっくり聞くと、もしも、自分もその立場で、そういう環境で、そういうことがあったら、殺してたかもな、と思うもんだよ。」
善悪、正誤、白黒判断することって、そう簡単にできないものです。
見方を変えれば、正解は変わるもの。
球に光をあてれば影ができ、その光をあてる方向を変えれば、影も変わります。
答えを決められるのは本人だけ。
誰かが決めた答えを見て、「それは、おかしい!」「間違っている!」と思うときは、情報不足、想像力不足が原因なのかもしれません。
とにかく、そういう感情が刺激されて出てきたのですから、その感情を認めてあげて、自分のなかの信念を見直すチャンスだと考えればいいんですよね。
そんなことを改めて考えさせられた一件でした。
ホワイティちゃんがいなくなって、授乳が静かでスムースになったことはたしかです。
シャンティかあさんが行方不明の子に気づいてしまわないか心配だったけど、それも大丈夫でした。
(犬は点呼確認できない・・・)
ゆうべから子犬たちがきれいに一列になって、それぞれのおっぱいを吸っています。
シャンティ母さんも落ち着いて、横に寝そべるので、子犬たちは反対側の乳首にも届きます。
今日からお座りスタイルも新登場。
子犬たちが力をつけてきたので、高い位置にしゃぶりつくこともできるようになったんですね。
7匹の子犬たちは、どんどん成長してます。
まだまだこれからも、いろんなことを勉強させてもらうのでしょうね。
シャンティさんと子犬たち、ふつつかな乳婆ですが、どうぞよろしく♪
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